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2000
05.15

物忘れと認知症の違い

数分前のことや人の名前がどうしても思い出せなくなることが多くなるなど、もの忘れがひどくなると、痴呆(ちほう)の始まりなのかと不安になる方も多いのではないでしょうか?もの忘れと痴呆について、専門医の金子満雄先生にお話をうかがいました。


もの忘れのメカニズムと痴呆のメカニズムはまったく別


以前は、もの忘れというのはボケの初めだと言われていましたが、早期痴呆について調べてみたところ、もの忘れのメカニズムと痴呆のメカニズムはまったく別であることがわかったのです。

もの忘れというのは、年齢とともに増えてくるものです。大体65歳から70歳になると、20歳代の半分ぐらいに記憶力が落ちているのが正常です。落ちていない人はいません。ですから記憶の内容により、ここを覚えていればどうだとか、ここまではどうだとか、そういう内容によって区別することはできません。そこが問題なのです。

大体30秒すると、ほとんど忘れてしまうという方がいても、その記憶が落ちてることを意識してる方は前頭前野の総司令部がしっかりしているので、自分の記憶が落ちていると認識しているわけで、まず痴呆になってないという可能性が強いのです。

痴呆の方はもの忘れも合併しやすいのですが、ほとんどの方はもの忘れをしていることを意識していません。それがまず問題ですね。


仕事には支障がないということであれば、いわゆる前頭前野、機転や手順といったことはできているはず、左右の区別や計算、方向感覚などはまちがっていないはずです。
その場合は、いわゆる健忘症であって、痴呆ではないだろうという予想が成り立つのです。

精密検査をするとすれば、大脳の左と右を国際的な知能テストによって、何点なのか調べてみるでしょう。普通の人は100点あればいいのですが、こういう場合はそれより上の方が多いのです。


海馬の働きが落ちても前頭前野が良ければ痴呆は起きない


記憶というのは、入ってきたいろいろな情報を耳の内側にある海馬(かいば)というところで取捨選択され、覚えようとする情報が、見たものや聞いたものなどそれぞれの「記憶の倉庫」に入ります。海馬がいろいろな時に壊されて、それが記憶障害に関係することがあるのです。

海馬について


海馬は左右によって役割が多少異なります。この記憶を覚え込むための関所は、実は犬や猫、なめくじも持っています。非常に低次元の脳の働きで、本能などに近いものなんです。

そういった本能的な低次元のことの記憶が良くても悪くても、人間の高次機能の活動にあまり直接の影響がないということなんですね。前頭前野は人間だけが持っている働きです。そこがやられたら全員がボケますが、海馬の働きが落ち、15秒で記憶が全部落ちていても前頭前野がいい人は、機転がきき意欲があり、計画性があって、テキパキやりますし、きれいなものを見たら感動できます。そうした方には痴呆は起こっていません。

PETスキャン


この機械は放射性同位元素を使って、脳のどこがどういうふうな働きをしているか見ることができます。グルコース代謝(脳の栄養になるブドウ糖の使われ方)をみているものです。例えばこの患者さんに「千円から15円引いてください」と言うと、「左」と示したところに左側の機能が出ますから、計算の領域に赤い火がついてくるのです。そうしますと、計算をしていることがわかります。

このように脳の働きを直視化できるというのは、夢の機械です。ポジトロンCTといい、リアルタイムに目の前で見ることができます。


睡眠時無呼吸症候群が原因で健忘症に


側頭葉性健忘で来られた女性は15秒ですべてのことを忘れてしまうと言います。ところが自分が忘れることを気にして、いろいろなことをメモをしていくと、何でもできるのです。この方は短歌を頻繁に投稿して入賞し、ゴルフも80そこそこで回ってこられるほどお上手です。ですから、国際的な知能テストでは、左側の機能は120点ぐらい、右側の方の方向感覚や機転などは130点もあるほど非常にこの方は優秀なのです。

ところが海馬には赤味がなく、50点ぐらいしかありません。つまりこの方の場合は、以前の記憶、つまりすでに倉庫に入ったものは覚えているものの、記憶しようと思っても、今入ってくる情報は入っていかないんですね。

この方の場合の原因は、睡眠時無呼吸症候群だったんです。夜中にいびきが強く、40秒ほど呼吸を止めていたため、酸素欠乏に弱い海馬の細胞が何%かだめになり、そのために記憶が入らなかったわけです。

この方を8年も診ていますが、全然痴呆が起こりません。側頭葉性健忘のような健忘だけで痴呆のない方を私のところでは今180人ぐらい診ています。
そういった方は痴呆ではなく健忘だけなんです。ですから物忘れだけで痴呆がない方がいるんだということを知っていてほしいですね。


原因としては、酸素欠乏が多いですが、交通事故で追突されたとか、ショック状態で血圧が落ちたとか、炭を燃やすようなこたつに頭を入れて居眠りをしたとか、そういったことぐらいで2、3割は落ちることがあります。

生活上気を付けたほうがいいことは、やはりメモを取ることです。何でも大事な事はメモをして、それに基づいて仕事すると普通にできます。ただ記憶を戻すことはなかなか難しく、私達が行っている記憶のリハビリでも良くなる幅は2、3割ぐらいですね。

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